概要

Ryujinx2は、未発売の次世代機（通称Switch 2）のハードウェア仕様を予測し、先行してアーキテクチャ設計を行っている研究用エミュレーターである。リーク情報に基づくT239（OrinベースのカスタムSoC）の仕様を前提とし、DLSS（Deep Learning Super Sampling）やレイトレーシングの実装を想定した次世代のレンダリングパイプラインを構築している。

アーキテクチャと技術特性

本エミュレーターは、Ampereアーキテクチャ世代のGPUエミュレーションを前提としている。最大の特徴は、Tensor Coreの仮想化およびパススルー技術の実装計画である。ゲスト（Switch 2）側が発行するDLSS推論リクエストを解析し、ホスト側のTensor Core、あるいはDirectML/CoreML等のAIアクセラレータへ効率的にディスパッチする仕組み「Neural Bridge」を設計中である。

CPUに関しては、Cortex-A78世代のARM命令セットに加え、カスタム拡張命令への対応が必要となる。これに対し、Ryujinx2ではグラフベースの中間表現（IR）を用いた、より柔軟なJITコンパイラを新規開発している。また、メモリ帯域幅の制約を回避するために予測されている「File Decompression Engine（FDE）」のエミュレーションとして、ホストRAMの一部を高速キャッシュとして割り当てる仮想階層ストレージシステムを導入予定である。現段階における最大の障壁は、暗号化キーやファームウェアの欠如によるブートプロセスのブラックボックス化であり、現在はSoCのドキュメントに基づく静的なハードウェアシミュレーションのフェーズにある。

推奨動作環境 (予測)

• CPU: AVX2/AVX-512対応の8コア以上、または高性能ARMv9プロセッサ
• GPU: Tensor Core搭載のNVIDIA GPU (DLSSパススルーのため推奨)、VRAM 10GB以上
• RAM: 16GB以上 (テクスチャ等の高解像度化に伴うメモリ増加を想定)